iPhone 6sの発売後、心臓部であるCPUの「Apple A9」には製造会社によって二種類あり、片方はもう一方に対してバッテリー消費量などで大きな性能差がある、という情報が駆け巡った。これは一体本当なのだろうか?

CPUの製造は2社が担当

Appleは自社で工場を持たず、独自設計のCPU「A9」などは韓国のサムスンや、台湾のTSMCに製造を委託している。

基本設計はAppleが行い、実装は製造メーカーがそれぞれ行うわけだ。

事実、Apple製品などの解体調査で定評のあるカナダの技術解析/特許支援企業である「Chipworks」によれば、サムスン製のA9は14nmプロセス、TSMC製は16nmプロセスで製造されており、CPUのチップ面積もサムスン製が一回り小さい

 

一般に、チップは製造プロセスが微細な方が消費電力も小さく、バッテリー駆動時間や発熱の面で有利になるということで、iPhoneの実機でも同じことが起きるかと思われていたが、実際にベンチマークテストを実施したところ、テスト結果は真逆で、サムスン製が2時間近くも動作時間が短いという結果が出てしまった模様。

この結果を受けて様々なサイトで同様にベンチマークテストを行ったところ、ことごとくサムスン製がバッテリー性能でやや劣ると言う結果になってしまった。なお、CPUの処理性能については両者ともほぼ同等だった。

 

Appleも性能差を認める

この問題を受けて、ネット上では自分の端末のCPUが何であるかを識別するツールが登場。
最初はウェブサイトから直接ダウンロードするシステムプロファイル書類という形式で、セキュリティ面に不安もあったが、その後App Storeからダウンロードできるアプリ形式のツールが複数登場したことで、誰でも安全に調べられるようになった。

その結果、国ごとに割合のばらつきはあるものの、2種類のCPUが存在しており、それぞれの間に性能差があることも確認されたのだ。

これを受けてサムスン製が「ハズレ」、TSMC製は「アタリ」と言われるようになったわけだ。

騒ぎが大きくなり、Appleも黙認できなくなったようで、声明を発表。

2種類のA9にはバッテリー性能に2~3%の違いがあることを認めた、
高負荷なベンチマークテストは実際の利用状況を反映していないとも指摘した。
実際、ストリーミングムービーの再生など負荷がさほど高くない状況では大きな差はなく、
利用環境に大きく左右されがちなバッテリーベンチの場合、3%程度であれば公差と呼んで差し支えないといえる。

ベンチマークテストの内容によってはサムスン製がTSMC製を上回るバッテリー駆動時間を記録することもあるようだが、
総合すると、Appleが主張する通り、通常の利用状況であれば2種類のCPUにおける性能差は2~3%程度であり、ほとんど無視していいようです。

 

なぜこのようなことが起きたのか

Appleに限らず、通常、メモリなど汎用的な部品は、一社からではなく、同程度の製品を分散して数社から購入することが多い。
こうすることで生産や流通に支障が出た場合などにリスクヘッジになる。
性能はカタログスペックを下回ることがなければよしとするもので、
仮にカタログ値を上回る製品が搭載されていたらラッキーと思っておくのがいいです。

Appleもさすがに公称値は複数台で幾度か測った平均値などを根拠にしているだろう。
3%程度は測り方次第で同一個体でも発生する差だけに、心理的な納得のいかなさはあるだろうが、例えばサムスン製CPUの搭載を理由に交換を申し出ても受け入れられることはないだろう。

ユーザーとしてはちょっと心配になってしまう話だが、どちらのCPUであっても通常の利用環境で問題が起きることはまず考えられない。気にしないで使うのが精神衛生上もいいのではないだろうか。