Masaさん
最近、フードデリバリーでジャイロキャノピー使っている人が多いですね。
ジャイロでも、水色ナンバーと白ナンバーがあるんですが、あれってどっちがいいんですかね?メリットとデメリット教えてください

Mihoさん
配達系の車両の中ではジャイロは結構な人気がありますね。
水色ナンバーと白ナンバー、一見同じジャイロなんですが、交通法規で言うと全く違う乗り物です。どちらがいいかは人それぞれだと思うので、これから説明するメリットとデメリットでどちらがいいか判断してくださいね。

※これ以降本記事では、水色ナンバーをミニカー登録・白ナンバーを原付登録と表記します。

ホンダが新車販売している車両は原付登録

まず最初に事前知識として、メーカー(ホンダ)が販売しているジャイロキャノピーは原付登録です。
このままではミニカー登録をすることができないので、ミニカー登録できるようにするには、改造が必要になります。
ホンダバイクの販売店や一部のバイクショップなどでは断られる作業内容ですので、自己責任での作業となります。

ジャイロキャノピーをミニカー登録するために必要な作業

方法はいくつかあるのですが、こんかいは最も一般的な方法で、後輪の輪距(トレッド)を拡大させてミニカー登録の規定を満たす作業です。
メーカー出荷の車両はトレッドが496mmに設定されています。(TA03インジェクションの車両の場合)ミニカー登録の規定は500mm超ですので、トレッドを5mm以上拡大させることでミニカー登録が可能になります。

スペーサーはさまざまなものが販売されているので、予算や目的にあったものを選んでください。

追加で2021年4月以降に新車登録された車両については、トレッドの拡大によって、タイヤがフェンダーからはみ出す場合は、オーバーフェンダーなどで、タイヤがはみ出さないように対処することが求められます。

ここから、メリット・デメリットを並べていきますが、基本的にミニカー登録は軽自動車の下位互換と考えてもらうと理解が早く進みます。

ミニカー登録のメリット

①ヘルメットの着用義務がなくなる

原付登録の場合はヘルメットの着用義務がありますが、ミニカー登録の場合はヘルメットの着用義務がなくなります。
賛否両論はありますが、安全を重視する場合は、着用義務に関係なく着用することを推奨します。

②二段階右折が禁止になります。

原付登録の場合、一定の条件を満たす交差点では二段階右折をしなければなりませんが、ミニカー登録の場合には、二段階右折が禁止となり、すべての交差点で小回り右折をする必要があります。

右折渋滞が発生する箇所などでも二段階右折をすることはできなくなりますので、そのようなポイントを頻繁に通るようであれば、ルートの再構築などを考えておく必要があります。
また、車両の出力は元のままですので、対向する直進車両との接触には十分に気を付ける必要があります。

③原付特有の30km/h速度制限がなくなる

原付登録の場合は、30km/hの速度制限がありますが、ミニカー登録の場合は、30km/hの速度制限がなくなります。通常走行する道路では、標識または、60km/hの制限速度がで適用されます。法律的には違反にはなりませんが、車両の性能が上がったわけではないので、実際に60km/hで走行できるかどうかは別の話になります。
また、メーカーは法定30km/hを想定して設計しているため、想定以上の負荷がかかることによって故障リスクは上がるので気をつけましょう。

ミニカー登録のデメリット

①改造が必要で、場合によっては持ち込み修理ができなくなる

前述した内容となりますが、メーカー純正の状態では水色ナンバーを取得することはできません。
トレッドの拡大などで改造を施す必要があります。また、ホンダバイクの販売店や一部のバイクショップなどでピットへの入庫を断られる場合があります。ミニカー登録をする前に、馴染みのバイクショップで受け入れてもらえるかを確認しておく必要があります。
修理場所が確保できない場合には、自分で修理ができるようになっておく必要があります。

②軽自動車税が高くなる

原付登録の場合の軽自動車税は年間で2000円ですが、ミニカー登録の場合の軽自動車税は年間3700円になります。

③交通違反の区分が普通車になる

交通違反の車両区分は「大型車」「普通車」「二輪車」「原付」の4種類に分かれています。
車両が大きくなるほど反則金や加点が大きくなります。
原付登録の場合の車両区分は「原付」ですが、ミニカー登録の場合は「普通車」になります。

一般的な放置駐車違反の場合で、反則金が原付の場合は9000円に対して、ミニカー登録の場合は15000円に増えることになります。
一時停止なども5000円が7000円になるなど反則金が高くなります。

ミニカー登録での一長一短(ケースバイケース)

①通れなくなる場所と、通れるようになる場所ができる

こちらの標識は二輪車以外通行禁止の標識です。

原付登録の場合は、二輪車と同等の扱いを受けるため、通行が可能ですが、ミニカー登録の場合は四輪車と同じ扱いを受けため、通行禁止となります。

こちらの標識は二輪車通行禁止の標識です。

原付登録の場合は、二輪車と同等の扱いを受けるため、通行禁止ですが、ミニカー登録の場合は四輪車と同じ扱いを受けため、通行可能となります。

その他補助標識で、
「原付」「二輪」が表示されている場所については、原付登録は適用・ミニカー登録は適用外
「原付を除く」「二輪を除く」が表示されている場所については、原付登録は適用外・ミニカー登録は適用
「自動車」が表示されている場所については、原付登録は適用外・ミニカー登録は適用
などのように、交通法規については全く扱いが変わります。

僕が住んでいる名古屋市内の場合、原付専用のパーキングがかなり整備されてきています。
これらも、原付登録の場合は駐車可能だけど、ミニカー登録の場合は駐車不可になります。

上記のように大阪市内の一部でも自動車限定の駐車禁止場所が多くあり、そういった場所では、原付登録では違反にならないが、ミニカー登録の場合駐車違反になります。

都内などのオーバーパス・アンダーパスなどで二輪(原付)通行禁止の場所が多くありますが、原付登録だと違反になりますが、ミニカー登録の場合は違反になりません。

②任意保険でファミリーバイク特約が使えない?

配達で使っている人の多くは任意保険に加入されていると思いますが、その任意保険の中にファミリーバイク特約というものがあります。
主契約の自動車に加えて、一定の条件を満たす小型バイクでの事故にも対応できるように特約を追加できるのですが、ミニカー登録によって対象車両から外れる場合があります。
これらは、保険会社の規定によるものなので、規定から外れる場合には規定に収まる保険会社に変更するか、ミニカー単体で任意保険に加入する必要があります。

個人的な意見としては

以前にジャイロキャノピーを購入した際は、ミニカー登録で登録をしましたが、個人的には原付登録のままでよかったと思っています。

その理由は?

① ヘルメットは結局被っている。
安全のため、有事の際に自分を守るために任意であるヘルメットは着用して稼働していました。
個人的にはヘルメットの着用が任意であること(強制されないこと)にメリットを感じない

②上限速度が変更になっても、結局スピードは出ない
当たり前の話なんですが、ミニカー登録をしたから60kmで走れるようになるわけではありません。
結局は元の出力のままで、TA03インジェクション車の場合、最高速で言うと55km/hくらいで頭打ちになります。
また、名古屋市内の場合、一部の幹線道路(若宮大通や大津通・国道19号など)を除いてほとんどの道路が40km/h規制、幹線道路でも広小路通や栄交差点〜上前津交差点の大津通など、渋滞ポイントが多く結局スピードが出せる区間はそこまで多くありません。

③ミニカー登録にした途端に安全に駐車できる場所がなくなる。
名古屋市内の場合、原付を対象にしたパーキングの整備すすんでいますが、二輪やミニカーを対象にしたパーキングはほぼ皆無です。名古屋駅周辺に若干のコインパーキングがあるくらいです。休憩やついでの買い物の際の安心感が著しく下がります。

他にも、自分のメインの稼働区域にアンダーパス、オーバーパスがなく、通行できるメリットを享受できないなど、原付登録である方が、自分の考えにはあっています。

本末転倒な話をすれば、非力でスピードが出ないことを理由に、購入して1ヶ月を待つことなく売却することになりました。
原付登録だったら乗り続けていたかと言うと、おそらく乗り続けてはいなかったと思います。
(これが、トリシティ購入のきっかけになったことは言うまでもありません)

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